依佐美送信所記念館 ![]()
![]() 情報通信振興会発行 電波受験界 2015年4月号
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![]() Original Yosami Transmitting Station |
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遠く離れた欧州に渡欧した同胞に一刻でも早く電報を届けたい。欧米列強と対等な通信を行いたい。対欧無線電信の始まりについて研究する。 People at that time would like to send telegrams as soon as possible to Japanese people who went to Europe far away. Japan wanted to communicate equally with Western countries. Research on the beginning of wireless communications with Europe. わが国は当時、イギリスの東方拡張会社の大東線、デンマークの大北電信会社の大北線、アメリカの商業太平洋電信会社の小笠原線という外国電信会社の所有する海底電線に頼らなければ外国との通信はできなかった。 第一次世界大戦後、外国貿易の激増と海外電報の急増が電報の停滞と遅延をもたらした(海底電線の運用にミスが増えた)。1922年のワシントン軍縮会議に出席した全権大使ですら、政府訓令を得るのに48時間も要した。日本政府は改めて国際通信が通商や外交と国防上の重要問題であることを認識し、無線通信に着目、海外通信専用の大電力無線電信局を建設する事になった。1925年(大正14年)10月20日に日本無線電信株式会社を創立し、對歐無線局等の建設命令書が政府から交付された。 @ 対米通信の増強 A 対欧無線局の建設 B 対南洋・極東無線局の設置 依佐美送信所(よさみそうしんじょ)は、愛知県碧海郡依佐美村(現在の刈谷市高須町山ノ田1番地)に建設された長波の使用を主とした無線送信所である。 日本無線電信株式会社 對歐送信所 1929大正14年法案通過、昭和2年7月着工、昭和4年4月15日業務開始。 1929年(昭和4年)に運用を開始したが、戦後は米軍に接収された。1993年(平成5年)、米軍より閉鎖する旨の通告を受け、翌1994年(平成6年)に日本に返還されたのに伴い、アンテナ鉄塔、建物は解体され、その役目を終えた。 送信設備の一部は記念館に保存され、2007年に高周波発電機が機械遺産に認定、2008年には送信設備一式が未来技術遺産に制定された。さらに、2009年(平成21年)5月19日には、IEEEよりマイルストーンとして認定された。純国産ではないが、地元が長らくサポートし、地域や社会に貢献した技術成果としてマイルストーンに認定された。 1941年(昭和16年)12月8日の太平洋戦争開戦時にハワイの真珠湾攻撃命令を伝える「ニイタカヤマ ノボレ1208」の暗号無電は、12月2日に依佐美送信所から海軍東京通信隊の管制のもと、南雲機動部隊とは別行動の先遣部隊の潜水艦に向けて17.442kHz で送信された。 (南雲部隊へ向けての送信を行ったのは、千葉県船橋市行田の船橋送信所)。潜水艦通信が実戦に使用されたのは世界でこれが初めてであった。 内外時報 名古屋對歐無線電信局では、9月24日午前0時から受信事務取扱業務を開始し、仏蘭西、独逸及波蘭竝に北方各国を経由して以遠の諸国より無線により本邦に来着する外国電波の取扱いをなしつつある。四日市海藏村からトンチャンネルより名古屋郵便局舎の内にある電信局に送られ通信手による電報受信が行われるのである。(出展:放送博物館蔵書 日本ラヂオ協会発行 ラヂオの日本 昭和3年11月号 内外時報52頁) Home and Abroad News The Nagoya-European radio telegraph station started receiving office work from midnight on September 24, and arrived in Japan by radio from faraway countries via the northern countries to France, Germany and Poland Foreign radio waves are being handled. From Yokkaichi-city Kaizo-mura, it is sent to the telegraph station in the Nagoya Post Office from Tone Channel, and telegrams are received by the operator. Exhibit: Collection of NHK Broadcast Museum Published by Japan Radio Association, "Radio no Nihon"Radio Japan, November 1928, page 52 内外時報 名古屋無線電信局依佐美送信所の設備略完成す。4年1月7日から2月5日の約一ヶ月英佛獨伊の四ヶ国と通信試験(550キロワット発電機式)最近の試験成績に依れば空中線電流は約750アムペア、空中線実効高は、約200メートル空中線効果は、実に150,000メーターアムペアに達するものである。放送局の空中線効果は、1,000メーターアムペアである。高周波発電機 800kVA,周波数5,813サイクル送信周波数 17,440サイクル、波長17,200米。1月7日より通信試験は未だ全部完了していないので其の成績は明らかでないが、英仏獨の対手局に24時間受信可能で1日20時間位は高速度印字可能で好成績を示している。(出展:放送博物館蔵書 日本ラヂオ協会発行 ラヂオの日本 昭和4年3月号 内外時報52頁) Home and Abroad News The Nagoya Radio Telegraph Station, Isami Transmitting Station is nearly completed.. For about a month from January 7th to February 5th 1929, a communication test (550 kW generator type) was conducted in four countries: the UK, France, Germany and Italy. According to recent test results, the antenna current is about 750 amps, the effective height of the antenna is about 200 meters, and the antenna effect is about 150,000 meter amps. The broadcast station's aerial effect is 1,000 meter amperes. High frequency generator 800 kVA, frequency 5,813 cycles, transmission frequency 17,440 cycles, wavelength 17,200m. Since January 7, the communication test has not been completed, so the results are not clear. However, in the UK, France and Germany, 24 hours a day can be received, and about 20 hours a day can be printed at high speed. Shows good results. Exhibit: Collection of NHK Broadcast Museum Published by Japan Radio Association, "Radio no Nihon"Radio Japan, March 1928, page 52 内外時報 對歐局送信業務開始名古屋無線電信局では3年9月24日から受信業務のみを開始しているが、(本誌3年11月号53頁)4月15日より送信業務を開始従来歐州との通信には、外国電信会社所属の海底線によるが、若しくは、無線電信で米国経由で交信する外に途は無かったので従って之によって蒙る處の外交上、通商上の不利、不便は甚大であったが、今回の業務開始により歐州諸国と迅速正確な直接送受信を行い得ることになったのは喜ばしいことである。(出展:放送博物館蔵書 日本ラヂオ協会発行 ラヂオの日本 昭和4年6月号 内外時報)
(2019.10.14 数値訂正) 設備概要 Specifications
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![]() Memorial Museum of Major Facilities |
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![]() 記念館機器配置図(記念館パンフレットより) Memorial Museum of Facilites Layout |
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記念館 機器配置 Memorial Museum of Facilities Layout |
![]() 館内 展示 |
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![]() (記念館展示資料) |
Schematic Diagram of This V.L.F Transmitter 長波用送信装置系統略図 |
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![]() (記念館展示資料) |
周波数 5,814ヘルツを発生させる高周波発電機を用い、その出力を逓倍回路を通して3逓倍し高調波の17,442Hzを取り出した。これは当時の発電機で直接17,442Hzを出力することは不可能であったためである。発電機の出力周波数には高い安定性が求められ、発電機のRotor(回転部分)は、軸長4.44m、直径1.83m、幅1.1m、重量21.2トンである。 さらなる、周波数安定のため高周波発電機を商用電源の交流電動機で直接回転させるのではなく、ワード・レオナード方式(Ward-Leonard system)を採用して安定化させている。交流電動機で直流発電機を回転させて直流電力を発生させ、取り出した直流を使って直流電動機で高周波発電機を回転させる。直流電動機は、高周波発電機の回転変動をトーンモータ(2kHz)で検出し、直流発電機を制御している。第2系統を有し冗長構成となっており格段で切り替えが可能になっている。2号系直流電源−2号系高周波発電機など。 |
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水抵抗器 Water resistance Device 主誘導電動機の起動時に生じる過電流を抑制するため、水の有する抵抗値を利用した装置。焼物でできた水槽の中に電極を上下させ電極の位置により抵抗値を変化させる。起動後は不要となり回路からは切り離される。遠隔操作可能。 |
![]() Water resistance Device |
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三相交流電動機 Main induction motor (Three-phase) 商用電源(3φ、3,300V)によりこの電動機は運転され、直流機器を介して高周波発電機を駆動する原動力となる。この電動機は、直流機器の電源となる直流発電機を駆動する。交流電動機と直流発電機の主軸はユニバーサルジョイントのような連結装置で直結されている。
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![]() Main induction motor (Three-phase) |
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三相交流電動機名盤 AEG(アーエーゲー)はドイツの電機メーカーAllgemeine Elektrizitats-Gesellschaft(アルゲマイネ・エレクトリツィテート・ゲゼルシャフト)の略で、英語訳すると General Electricity Company。「一般電気会社」と和訳されることもある。1883年創業、1994年にエレクトロラックスの傘下に入って以降は同社のブランド名となる。 (AEG=GE、 TELEFUNKEN =RCA 実に興味深い) D Mot Nr 2061624 Type V D 1000/861 Y 3300V 183A 920kW cosφ0.92 CCW 1180rpmin 60〜 Lanp.△ 1130V 500A |
![]() AGE Name Plate |
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主直流機励磁用電動発電機 Motor-generator for exciting main D.C. generator and motor 主直流発電機及び電動機の励磁用電源供給用発電機各1基がシャフトにより誘導電動機に直結されている。励磁とは永久磁石の代わりに電磁石を用いて磁力線を発生させる仕組み。 |
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左 主直流機・励磁用電動機操作盤 右 送風機操作盤 電流制限継電器 日立電気 1927 150A |
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直流発電機 Main D.C. generator 電機子(回転子)は、誘導発電機で駆動され回転する。電機子が回転しているときに励磁電流を流すと直流電圧が発生する。発電機出力は、直流電動機に制御回路を介して加えられる。高周波発電機の回転速度(周波数)の調整はこの出力電圧を変化させる G Gen Nr 2061626 Type C D H 2750 800V 1075A 860kW CW 1130rpmin Erreg +00V 20A |
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直流電動機 Main D.C. Motor 高周波発電機を駆動させる。直流発電機の出力を制御回路を介して入力する。構造は直流発電機と同一だが動作は逆で、電機子に(回転子)に電圧が加わっている時に励磁電流を流すと回転力が生じる原理を利用)。回転速度は入力電圧と励磁電流にほぼ比例する。規定回転数は1,360rpm(回/分)である。 CC Mot Nr 2061620 Type C D H 2750 800V 970A 730kW CCW 1220-1500rpmin Exc. 236V 12A |
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高周波発電機 High frequency generator
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長波大電力送信設備の心臓部である。主直流電動機により直接駆動される。Rotor(電機子、回転子)は、軸長4.44m、直径1.83m、幅1.1m、重量21.2トン、慣性能率が16トンで256個の歯を有する歯車状の構造を持つ。これに対応する固定子(Stator)には鉄心に巻かれた磁界巻線と出力巻線が円形状に配置されている。規定回転数1,360rpmの時、5,814kHzの周波数と500kW
の出力を発生する。テレフンケン高周波発電機でドイツ・テレフンケン社の設計、AEG社の製造によるものである。米国RCA社アレキサンダーソン高周波発電機とは固定子(ステータ)、回転子(ローター)の構造がまったく異なる。高周波発電機の完成形と言える。
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高周波塞流線輪(1) High frequency choke coil 発射電波の影響を高周波発電機が受けないようにするコイル。木枠に太いリッツ線を円筒状巻いてある。高周波の表皮効果による損失を軽減するため太いリッツ線を用い0.13mmエナメル線を1,000本束ねてあるという。 |
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高周波塞流線輪(2) High frequency choke coil 高周波成分が励磁用発電機に影響を及ぼすのを阻止するためのコイル。このコイルは、直流が通過すればよいので通常の銅撚り線である。 |
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左 トリプラー (フレクエンシー トリップラー) Frequency tripler 特殊な回路を有する鉄心コアのトランスで、磁気飽和を利用して入力信号を歪ませ 第3高調波を生み出すトランスのような装置(参照文献:無線科学大系)
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![]() Frequency tripler/Keying choke |
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右 キーイングチョーク Keying choke 500kWの電力を生み出す大電流を直接金属接点のスイッチでKeying (ON-OFF)すれば、スパーク(放電)が発生し、電弧により電流は遮断できないほか、音響雑音、高周波雑音が発生し大変なことになる。この装置は、磁気飽和しやすい特殊な鉄心を用いたチョークコイルに巻かれた送信信号電流を同一の鉄心に巻かれた直流コイルの電流(13A)で鉄心を磁気飽和させることで終段同調回路のインダクタンスを変化(同調、非同調)させ送信出力をKeying (実際には完全OFFしていない)している。(引用文献:無線科学大系) |
![]() Frequency tripler/Keying choke |
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![]() 原理図 (無線科学大系より) |
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トリプラー磁化用電動発電機 Motor-generator for tripler magnetizing トリプラーの鉄心に約400Aの大電流を流して磁化させる為の発電機。トリプラー起動時のみ使用する。 |
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トリプラー磁化用電動発電機操作盤 Starter for tripler magnetizing トリプラー磁化用電動発電機を起動するための装置で手動で操作する。 |
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蓄電器(コンデンサ) Capacitor DEUTSCHE DUBILIER KONDENSATOR GMBH DRP ドイツ・ヂュビリヤー・コンデンサ会社製 |
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コンデンサーはコイルと組み合わせて所定の周波数に共振させるためのもの。このコンデンサーは高周波用に開発された油入マイカコンデンサの一種で静電容量は0.1μF、耐圧は4kV、電流容量87.5Aである。 |
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可変コイル バリオメータ型 高周波コイル Variable high frequency coil コイルはコンデンサと組み合わせて所定の周波数の共振させるものであるが最適の共振状態を得るために微調整する必要がある。そのためにインダクタンスを可変型するコイルが必要となる。 |
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電流計 Ammeter 左側:中間回路電流指示用 フルスケール500A C/T比 100:1 左側:空中線電流指示用 フルスケール1,000A C/T比 200:1 電流計本体は熱線型、フルスケール5A |
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ローディングコイル Loding coil 送信周波数17.422kHzにアンテナを同調させるために設けられたコイル。直径3mの円筒状の木枠にリッツ線が23回巻かれている。磁界による発熱を防ぐため木枠には釘などの金属は一切使用されていない。 |
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壁貫通碍子 壁抜きブッシング Feed through insulator 松風工業株式会社 送信出力をアンテナに給電するには送信局舎の壁を通る必要がある。高電圧の高周波を確実に絶縁し、かつ機械的に強度を持たせるため、昭和初期に日本で開発された。700kWの高周波電力に耐えるため巨大な碍子が用いられた。長さ3m、重さ15t。 |
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壁貫通碍子 壁抜きブッシング Feed through insulator
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長幹碍子(コロナリング付き) Insulator with corona shield ring Made by U.S.A 高電圧、大電流の下では導体の表面にコロナ放電が生じ電力の損失や雑音が発生する。給電線の直近に長幹碍子コロナリング付きを設け放電を防止する。 |
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6段3方向支線付基部 絶縁三角鉄塔 地上高250m ![]() (無線工学ポケットブックより) |
![]() 振止碍子取付装置及び避雷器
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![]() ![]() 鉄塔台座 Tower base |
高さ250mの鉄塔を支えた台座。上部が球状になっているのは鉄塔が強風によって揺れを生じても荷重を一点で支え下部台座に均等な力が分散して伝わるようにするためである。左上の写真から可動域は微小。 |
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鉄塔台構据付一般図(立面図 無線工学ポケットブックより) |
![]() 鉄塔基礎 (平面図 無線工学ポケットブックより) |
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![]() 鉄塔基部据付工事(記念館展示写真) |
![]() 鉄塔基部図(無線工学ポケットブックより) |
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オースチントランス(航空障害標識灯用変圧器)は、アンテナから送信される高周波を絶縁し、電灯を点灯させるためのトランスで航空機の安全を守る。 | ![]() オースチントランス格納小屋 |
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碍子は、絶縁と圧縮強度及び張力に絶える強度が要求される。台碍子は鉄塔基部に敷かれる碍子で、圧縮強度80トン以上の耐力が必要でこの碍子を4段一組として12組(48個)が設置された。鉄塔台構据付一般図、鉄塔基礎参照。
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日本の技術を結集し作られた依佐美送信所の鉄塔 ・鉄塔基礎工事 ・一点支持機構 ・台碍子製造技術 ・振止碍子取付装置 |
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![]() 無線塔平面図(記念館展示資料) およそ1500m X 1500mの巨大な空中線設備 |
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逆L型フラットトップアンテナ 以後 マルチプルテューンド方式 固有波長:約8,700m(約34kHz)
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アンテナ・鉄塔は、日本無線電信の技師、楠仙之助の設計で製造は石川島造船所(IHI)、建設工事は大倉土木(現大成建設) 支線アンカー間距離 局舎側 1527m コイルハウス側 1440m 長手方向 1694.4m |
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監視室 MCR Master Control Room | ![]() |
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大理石の送信機操作盤 Transmitter control panel パネルA: 1号機負荷補償制御(Load compensation) パネルB: 1号機回転速度制御(Speed control) パネルC: 1号機副回転速度制御(Sub speed control) パネルD: 1号機主機操作(Main machine) パネルE: 1号機電波発信操作及びキーイング(Keying) パネルF: 2号機電波発信操作及びキーイング(Keying) パネルG: 2号機主機操作(Main machine) パネルH: 2号機副回転速度制御(Sub speed control) パネルI: 2号機回転速度制御(Speed control) パネルJ: 2号機負荷補償制御(Load compensation) |
![]() パネルD、E、F、G |
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テレフンケン (TELEFUNKEN AG 、初期はTELEFUNKEN GmbH )は、1903年5月27日に、シーメンスとAEGの合弁会社として無線技術の為にベルリンで設立された。ドイツの無線とテレビの会社である。GmbH;
Gesellschaft mit beschrankter Haftung; ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクター・ハフトゥング、 ゲーエムベーハー
ドイツ法における有限会社 日本無線電信株式会社 (にほんむせんでんしん)は、日本無線電信株式会社法の成立に伴い1925年に設立された特殊会社。 |
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国際電気通信株式会社についてGHQ文書を発見 放送文化調査研究所 放送情報調査部資料より 連合国軍最高司令長官総司令部 CCS(民間通信局)文書7 Disposal of ITC as of 30 SEP 1945 国際電気通信株式会社(GHQ 31JAN 1946) “ITC’s small Zaibatsu” 14 JAN 1947 C. ALBERT FEISEHER 国際電気通信株式会社は、1938年に日本無線電信株式会社と国際電話株式会社の合併により設立された。設立時の資本金は3,000万円。国際電気通信株式会社法の成立に伴い設立された特殊会社。略称はKDTK。国際無線電信、国際無線電話、国際海底線電話の設備建設保守を業務とする会社。 |
![]() MCR内 |
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監視室内操作卓 系統切り替え操作盤と思われるパネルが見える |
![]() (記念館展示資料) |
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A2、米軍は当初高周波発電機でFSKの実験をやっていたがうまくいかなかった。周波数は、5kHz間隔の2つの共振回路を設けて切り替えていたようである。あまり期待していなかった様子だった。その後、米国本国から真空管式の送信機が到着して運用していた。局部発信器は原子発信器を利用していたようである。 コイルに使用されているリッツ線は、0.13?のエナメル線をおよそ1000本束ねたもので半田付けはエナメルを溶剤で溶かして電気鏝や焼き鏝で半田付けしていた。 (長波の周波数帯においても表皮効果の対策をしていた。それほど大電力であった証拠) A3、水抵抗器はずっと使っていたのか? Q3、使用していた。電動により電極を上げ下げでき主誘導電動機を起動していた。三つの水槽は焼き物でできておりお湯が沸くほど熱くなることはなかった。起動後は用がなくなる。時より抵抗値の測定を行った。 コイルの木枠を製作したが芯柱が強電界のため変質してしまうこともあった。 コイルハウスにブロックを使ったが補強の鉄筋の影響で電波が吸われてしまった。対策としてコイルハウス室内に銅版(燐青銅?)を張った。 油入りマイカコンデンサーは耐圧4,000V、容量0.1μF 。 Key(スペース)動作は、送信レベルを鉄心入りコイルの磁気飽和を利用して低下させていた。 ON−OFFではなく、ON−レベルダウンが実際の動作。受信閾値以下になればOFFと同様。C/NのN以下にすればよし。 変電所からの送電は、送信電磁波の影響を受けないように途中から(3km?先)埋設で送電された。 装置系統は、襷がけ運転も可能で、1号GENで2号高周波モーターを駆動するなど冗長設計がなされていた。(重要設備のため安定性を確保する必要があった)切り替えはマトリックス上のクロスポイントとねじによって切り替えた。運転は休止する必要があった。 長波といえどもチューニングはそれなりにシビアであった。 Keyingは、電報局から有線で伝送された信号で行われていたが、テスト用のKeyが監視室に設けられていた。 Q4、雷のときはどうしていたか? A4、当然避雷器が空中線鉄塔、局舎引き込みに設けられ、コンデンサ、高周波発電機器に雲母板を挟んだアレスターが設けられていた。 雨の日は誘導電流によりバスの車体に触れるとピリッと来た。国道が空中線の直下を通過するのでタンクローリー火災など防止するためシールドのトンネルを作った。 空中線の直下には木柱を支柱にしたカウンターポイズ(アーススクリーン)が設けられていた。 空中線は、30mから50mぐらいたわんで垂れ下がっていた。 航空障害灯にはオースチントランスを用い鉄塔直下の百葉箱のような小屋に収容した。蛇が巻きつきショートすることもあった。 鉄塔は細いので垂直かどうか測量し調整した。台風の後は測量し5cmから10cm以内に調整した。 鉄塔基部の碍子表面精度は十分でなければならなく削って精度を出していたと思う。それでも、微妙に凹凸があり割れてしまうことがある。他の設備では碍子の間に鉛板を挟んだりしたらしいが、依佐美送信所ではケント紙にニスを塗ったものを利用した。圧力ではみ出してくるほどであった。 Q5、アメリカは、依佐美送信所のアンテナが欲しかったのでは? A5、 其の通りでこれほどの設備は間単に建設できない、高周波送信設備にはあまり期待していなかったと思うが、ここのアンテナはアメリカも欲しかったはずである。
2011年の5月5日に電気興業元社員の正木さんから「アンテナ線は50m垂れ下がっていた」とお話を伺った後、今までアンテナ線の弛度(ちどWire
sag, dip)について、深く考えなかったが、9年を経て2020年5月4日にその考察を記すことにする。 |
![]() 試験用電鍵 TEST KEY ![]() KEYING RELAY 依佐美送信所公式サイトより ![]() 雲母板を利用したアレスター(HF GEN) ![]() 支線碍子保守中 (記念館展示写真) ![]() 宇佐美送信所本館 (記念館展示写真) ![]() ![]() USA接収当時? ![]() バリオカプラー 調整メモリマーク 赤CW 黄SK=FSK? |
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右の写真は、2018,12,12に撮影した写真で、機器が黒色に塗装されている。2011年5月5日に訪れたときに、塗装する話をお聞きしたが、歴史を保存するのであれば、劣化の進行を防ぐ程度に留めて頂きたかった。 この送信所は、第一次世界大戦の戦争賠償金で建設され、欧米列強の世界の中で日本国の発展に大きな貢献を果たした。ところが、第二次大戦で敗戦、米国に接収され、機器が米国海軍仕様の薄い空色に塗装され、その後およそ半世紀、米国海軍重要通信施設として稼働し、米軍施設の歴史の方が長い。この歴史的資料をもっと大切に維持してほしいと思います。 スウェーデンのヴァールベリ市のグリメトンにあるグリメトン無線局(コールサインSAQ、世界遺産)のように動態保存して頂きたかった。KDDI八俣送信所は、まだまだ現役ですが、依佐美送信所のようにならないように願いたいものです。 201910.14−K.KANZAKI |
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2011.05-K.KANZAKI 2011.07.03-K.KANZAKI 2017.02.01-K.KANZAKI 2019.10.14-K.KANZAKI 2020.05.03-K.KANZAKI |